アルベリオーネ神父は、教会の信者の司牧を重要視し、三つの小教区で、特に牧職を実行し、ほかの多くの小教区にも説教、告白、講演、カトリック・アクションなどのために出向いた。こうして人びととの交わりを経験し、「行って、宣教し、教え、洗礼を施しなさい」というキリストの勧めをますます切実に感じ続けていた。
そのほかアルベリオーネ神父は、「大都市における霊魂の指導」(スオボダ著)と「司牧神学、四巻」(クリーグ著)とを二年にわたって反復読み返し、毎週一二人の司祭と一緒に集まって、現代にふさわしい、よい霊的指導について研究を続けた。この問題について教区長代理のかたがたに意見を求め、一五人あまりから書面による回答を得た。
そして一九〇八年(明治四一年)三月から十月まではナルツォル(Narzole)のサン・ベルナルド教会の助任司祭として、おもに青少年の教育に尽くした。アルベリオーネ神父の世話でこの教会から聖職者になったものが数名いる。ジョゼッペ・ジャッカルド(のちのパウロ会の副総長ティモテオ・ジャッカルド神父)もそのひとりである。当時一二歳のジャッカルド少年は、腺病質で貧農の出身ではあったが、信心深く、頭がよく、従順で責任感に強かった。神父は、この少年を導いてアルバ神学校に入学させ、その学費の負担までした。
このほかアルベリオーネ神父は、この教会に記録が残っているものだけでも、三三名の幼児に洗礼をさずけ、一組の結婚式を司式している。そして、一九一三年に「司牧神学のメモ」と題する一冊の本を出版されたが、これは司牧時代の経験とそれ以後の研究をもとにして著述されたものである。
・池田敏雄『マスコミの先駆者アルベリオーネ神父』1978年
現代的に一部不適切と思われる表現がありますが、当時のオリジナリティーを尊重し発行時のまま掲載しております。