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修道院の祈り

教皇フランシスコを偲ぶノベナ(九日間の祈り)〜米国司教評議会より〜

はじめに

 教会全体が、私たちの聖父、教皇フランシスコの逝去を悼んでいます。大聖堂、バシリカ、小教区教会、巡礼地、そして礼拝堂では、教皇の魂の安息のために聖体祭儀が捧げられるでしょう。共同体や個人は、ローマ司教として教会に仕えた教皇に、神が無限の慈しみを注いでくださるよう祈ります。
 このノベナは、この追悼の時期に教皇のために祈る助けとなるよう準備されました。枢機卿団の指示に従い、ノベンディアレス(九日間の喪)期間中に行われるこの毎日の祈りは、聖書または他の教会文書からの短い朗読と、ローマ・ミサ典礼書やキリスト教葬儀式次第から取られた祈りを含む、いくつかの短い祈りで構成されています。

第一日

「あなたはペトロである…」
父と子と聖霊のみ名によって。アーメン。

マタイによる福音
 イエスがフィリポ・カイサリア地方に行かれたとき、弟子たちに、「人々は、人の子のことを何者だと言っているか」とお尋ねになった。弟子たちは言った。「『洗礼者ヨハネだ』という人も、『エリヤだ』という人もいます。また、『エレミヤだ』とか、『預言者の一人だ』という人もいます。」イエスが言われた。「それでは、あなたがたはわたしを何者だと言うのか。」シモン・ペトロが、「あなたはメシア、生ける神の子です」と答えた。すると、イエスはお答えになった。「シモン・バルヨナ、あなたは幸いだ。このことをあなたに現したのは、人間ではなく、わたしの天の父なのだ。わたしも言っておく。あなたはペトロ。わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てる。陰府の力もこれに対抗できない。わたしはあなたに天の国の鍵を授ける。あなたが地上でつなぐことは天上でもつながれ、あなたが地上で解くことは天上でも解かれる。」(マタイ 16:13-19)
 (しばらく沈黙のうちに祈り、主の祈り、アヴェ・マリアの祈り、栄唱をそれぞれ一回唱えます)
 主よ、永遠の安息を彼に与え、 不滅の光で彼を照らしてください。
 魂に忠実に報いてくださる神よ、 あなたのしもべ、教皇フランシスコは、 あなたがペトロの後継者、そして教会の牧者としてお立てになった者です。 彼が地上で忠実に仕えた、あなたの恵みと憐れみの神秘を、 天において、あなたの御前で永遠に 幸せのうちに味わうことができますように。 私たちの主キリストによって。アーメン。

第二日

「わたしの羊を飼いなさい…」
父と子と聖霊のみ名によって。アーメン。

ヨハネによる福音
 食事が終わると、イエスはシモン・ペトロに、「ヨハネの子シモン、この人たち以上にわたしを愛しているか」と言われた。ペトロが、「はい、主よ、わたしがあなたを愛していることは、あなたがご存じです」と言うと、イエスは、「わたしの小羊を飼いなさい」と言われた。 二度目にイエスは言われた。「ヨハネの子シモン、わたしを愛しているか。」ペトロが、「はい、主よ、わたしがあなたを愛していることは、あなたがご存じです」と言うと、イエスは、「わたしの羊の世話をしなさい」と言われた。 三度目にイエスは言われた。「ヨハネの子シモン、わたしを愛しているか。」ペトロは、イエスが三度目も、「わたしを愛しているか」と言われたので、悲しくなった。そして言った。「主よ、あなたは何もかもご存じです。わたしがあなたを愛していることを、あなたはよく知っておられます。」イエスは言われた。「わたしの羊を飼いなさい。」(ヨハネ 21:15-17)
 (しばらく沈黙のうちに祈り、主の祈り、アヴェ・マリアの祈り、栄唱をそれぞれ一回唱えます)
 主よ、永遠の安息を彼に与え、 不滅の光で彼を照らしてください。
 魂の不滅の牧者である神よ、 あなたの民の祈りに目を留めてください。 あなたのしもべ、教皇フランシスコが、 愛をもってあなたの教会を導き、 彼に託された群れとともに、 あなたの憐れみによって、 忠実な管理人の報いを受けることができますように。 私たちの主キリストによって。アーメン。

第三日

ペトロ、全教会の一致
父と子と聖霊のみ名によって。アーメン。

聖アウグスティヌスの説教より
 ご存知のように、イエスは受難の前に弟子たちを選び、使徒と呼ばれました。そして、これらの弟子たちの中で、ほとんどあらゆる場面でペトロだけが教会全体を代表するにふさわしい者とされました。彼だけが担ったその役割ゆえに、彼は「あなたに天の国の鍵を授けよう」という言葉を聞くに値したのです。なぜなら、鍵を受け取ったのは一人の人間ではなく、一つと見なされた教会全体だったからです。それゆえ、主が復活の後、ペトロにご自身の羊を養うことを委ねられたのは理に適っています。しかし、主の羊を養うに値したのはペトロだけではありませんでした。キリストはただ一人に語りかけることによって、すべての一致を示唆しておられます。そして、ペトロは使徒たちの筆頭であるため、主はペトロに語りかけられるのです。(Sermo 295, nos. 2, 4)
 (しばらく沈黙のうちに祈り、主の祈り、アヴェ・マリアの祈り、栄唱をそれぞれ一回唱えます)
 主よ、永遠の安息を彼に与え、 不滅の光で彼を照らしてください。
 神よ、あなたは司祭の中から あなたのしもべ、教皇フランシスコを選び、 使徒的祭司職における教皇の尊厳を お与えになりました。 どうか、彼が永遠に 使徒たちの仲間に加えられますように。 私たちの主キリストによって。アーメン。

第四日

信仰の真正な教師
父と子と聖霊のみ名によって。アーメン。

カトリック教会のカテキズムより
 ローマ教皇と司教たちは、「真正な教師、すなわち、キリストの権威を授けられた教師であり、彼らに委ねられた民に、信じられ実践されるべき信仰を説く」者です(『教会憲章』25)。教皇と、彼と交わりにある司教たちの通常かつ普遍的な教導権は、信者に、信ずべき真理、実践すべき愛、希望すべき至福を教えます。(No. 2034)
 (しばらく沈黙のうちに祈り、主の祈り、アヴェ・マリアの祈り、栄唱をそれぞれ一回唱えます)
 主よ、永遠の安息を彼に与え、 不滅の光で彼を照らしてください。
 神よ、あなたは驚くべき摂理によって、 あなたのしもべ、教皇フランシスコを選び、 あなたの教会を治める者とされました。 どうか、地上であなたのみ子の代理者として仕えた彼が、 み子によって永遠の栄光に 迎え入れられますように。 世々とこしえに生き、支配しておられる主によって。アーメン。

第五日

「兄弟たちを強めなさい…」
父と子と聖霊のみ名によって。アーメン。

ルカによる福音
 「シモン、シモン、サタンはあなたがたを、小麦のようにふるいにかけることを神に願って聞き入れられた。しかし、わたしはあなたのために、信仰が無くならないように祈った。だから、あなたは立ち直ったら、兄弟たちを力づけてやりなさい。」するとシモンは、「主よ、御一緒になら、牢に入っても死んでもよいと覚悟しております」と言った。イエスは言われた。「ペトロ、言っておくが、あなたは今日、鶏が鳴くまでに、三度わたしを知らないと言うだろう。」(ルカ 22:31-34)
 (しばらく沈黙のうちに祈り、主の祈り、アヴェ・マリアの祈り、栄唱をそれぞれ一回唱えます)
 主よ、永遠の安息を彼に与え、 不滅の光で彼を照らしてください。
 主よ、願わくは、 あなたのしもべであり司祭である 教皇フランシスコの霊魂が、 この世に生きていた間、 あなたが聖なる職務をもって 彼を尊ばれたように、 天の栄光ある住まいで永遠に 喜びにあずかることができますように。 私たちの主キリストによって。アーメン。

第六日

ペトロの慈悲の奉仕職
父と子と聖霊のみ名によって。アーメン。

教皇聖ヨハネ・パウロ二世による回勅『一致への招き』より
 使徒たちの頭であるペトロとパウロの血によって豊かにされた教会において、ペトロの使命を受け継ぐローマ司教は、神の多様な慈悲に根差した奉仕職を行使します。この奉仕職に固有の権威は、完全に神の慈しみ深い計画に仕えるものであり、常にこの視点から見られなければなりません。その力はこの視点によって説明されます。ペトロが先に三度イエスを否認したことに対応する、三度の愛の表明に自らを重ね合わせながら、その後継者は自分が慈悲のしるしでなければならないことを知っています。彼の奉仕職は、キリストご自身の慈悲の行いから生まれた、慈悲の奉仕職なのです。神の教会は、罪と邪悪なたくらみに捕らわれた世界に対し、すべてにもかかわらず、神がその慈悲によって人々の心を一致へと向けさせ、ご自分との交わりに入れることができるということを、キリストによって示すよう召されています。(nos. 92-93)
 (しばらく沈黙のうちに祈り、主の祈り、アヴェ・マリアの祈り、栄唱をそれぞれ一回唱えます)
 主よ、永遠の安息を彼に与え、 不滅の光で彼を照らしてください。
 全能の神よ、願わくは、 あなたの家族の世話を あなたが委ねられた、 あなたの亡きしもべ、教皇フランシスコの霊魂が、 彼の働きの豊かな実りとともに、 主の永遠の喜びに 入ることができますように。 世々とこしえに生き、支配しておられる主によって。アーメン。

第七日

ペトロ:使徒たちの第一人者
父と子と聖霊のみ名によって。アーメン。

マタイによる福音の朗読
 イエスは十二人の弟子を呼び寄せ、汚れた霊に対する権能をお授けになった。汚れた霊を追い出し、あらゆる病気や患いをいやすためであった。 十二使徒の名は次のとおりである。まずペトロと呼ばれるシモンとその兄弟アンデレ、ゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネ、 フィリポとバルトロマイ、トマスと徴税人のマタイ、アルファイの子ヤコブとタダイ、 熱心党のシモン、それにイエスを裏切ったイスカリオテのユダである。(マタイ 10:1-4)
 (しばらく沈黙のうちに祈り、主の祈り、アヴェ・マリアの祈り、栄唱をそれぞれ一回唱えます)
 主よ、永遠の安息を彼に与え、 不滅の光で彼を照らしてください。
 魂に忠実に報いてくださる神よ、 あなたのしもべ、教皇フランシスコは、 あなたがペトロの後継者、そして教会の牧者としてお立てになった者です。 彼が地上で忠実に仕えた、あなたの恵みと憐れみの神秘を、 天において、あなたの御前で永遠に幸せのうちに味わうことができますように。 私たちの主キリストによって。アーメン。

第八日

教皇と司教たちの一致
父と子と聖霊のみ名によって。アーメン。

教会憲章『ルーメン・ジェンティウム(Lumen gentium)』より
 この(司教たちの)団体的結合は、個々の司教と、部分教会および普遍教会との相互関係においても明らかです。ローマ教皇は、ペトロの後継者として、司教たちと信徒たちの両方の一致にとって、永遠かつ目に見える原理であり基礎です。一方、個々の司教は、普遍教会の模範に倣って形作られた、自身の部分教会における一致の、目に見える原理であり基礎です。このような個々の教会の中から、そしてこれらの教会を通して、唯一のカトリック教会が生まれます。この理由から、個々の司教は自身の教会を代表しますが、彼ら全員が教皇との一致において共に、平和、愛、そして一致の絆で結ばれた教会全体を代表するのです。(No. 23)
 (しばらく沈黙のうちに祈り、主の祈り、アヴェ・マリアの祈り、栄唱をそれぞれ一回唱えます)
 主よ、永遠の安息を彼に与え、 不滅の光で彼を照らしてください。
 魂の不滅の牧者である神よ、 あなたの民の祈りに目を留めてください。 あなたのしもべ、教皇フランシスコが、 愛をもってあなたの教会を導き、 彼に託された群れとともに、 あなたの憐れみによって、 忠実な管理人の報いを受けることができますように。 私たちの主キリストによって。アーメン。

第九日

使徒ペトロの後継者
父と子と聖霊のみ名によって。アーメン。

教皇聖クレメンス一世によるコリントの信徒への手紙より
 使徒たちは、命を受け、私たちの主イエス・キリストの復活によって完全に確信し、神の言葉を信頼し、聖霊によって保証されて、宣教に出て行きました。彼らは、神の国が間近であることを、田舎や都市の至る所で宣べ伝えました。彼らは、自分たちの説教によって最初に信仰に至った人々を聖霊において見極め、後に信じることになる人々のために、彼らを司教と助祭に任命しました。…私たちの使徒たちはまた、私たちの主イエス・キリストを通して、司教職をめぐって争いが起こることも知っていました。それゆえ、完全な先見をもって、彼らがその人々を叙階したとき、使徒たちは、自分たちが世を去る際には、他の確かな人々が彼らの奉仕職を継承すべきであるという指示を与えました。(42:3-4; 44:1-2)
 (しばらく沈黙のうちに祈り、主の祈り、アヴェ・マリアの祈り、栄唱をそれぞれ一回唱えます)
 主よ、永遠の安息を彼に与え、 不滅の光で彼を照らしてください。
 主よ、私たちの祈りを 憐れみをもってお聞き入れください。 私たちは謙遜に、 あなたのしもべであり司祭である 教皇フランシスコの霊魂の救いのために 祈りをお捧げします。 彼があなたの御名に 忠実に仕えたように、 あなたの聖人たちの永遠の交わりの中で 喜ぶことができますように。 私たちの主キリストによって。アーメン。

米国司教評議会より
https://www.usccb.org/resources/novena-pope-francis-ENG.pdf

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