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みことばの響き

仕える者 年間第29主日(マルコ10・35~45)

 今日もみことばで「仕える者」という言葉が耳に響いてきます。

 エルサレムで奉仕しているフランシスコ会のイブラヒム神父。彼はエジプトのアレキサンドリア出身で、36~37年前に司祭に叙階されました。その後、ベツレヘムの聖誕教会に赴任します。2002年4月、イスラエル軍がこの教会を包囲し、教会の中に240名のパレスチナ人が立てこもりました。その年は3月31日が復活祭で、4月2日にその事件が起こりました。隣接するフランシスコ会の修道院には30名(17か国)が生活していました。最初は早く解決するかと思われましたが、終結は5月10日で、39日間の出来事でした。

 彼にインタビューした時、こんなふうに話していました。

 「4月2日、ベツレヘムの聖誕教会はイスラエル軍に包囲されました。教会近くにはクレーンが配備され、先端にはカメラと自動小銃が設置され、教会の中にいる人たちを狙っている。上空にはバルーンが飛行し、カメラで四六時中監視。自動小銃などによって8名が亡くなり、27名が負傷しました。かつて聖誕教会で血が流されたことはなく、初めてのことでした。やがて水道、ガス、電気がストップ。不思議にも一つの蛇口から水が出てきて、あるコンセントだけに電気が流れ、それでケータイ電話を充電することができました。ガスも4月1日の時点でないことは分かっていましたが、毎日恐る恐る火をつけると、39日間持ち、解放の日につかなくなりました。240名のパレスチナ人と30名の会員、合計270名分の食事を準備し、毎日コップ一杯ずつ配給。しかし、時間がたつにつれイイライラして何人かは外に出たいと言い始めました。外へ出ると当然銃殺されます。教会の周りには150台の戦車が待機していましたので…。そんな状況で教皇ヨハネ・パウロ二世からケータイに電話が入ります。『私はあなたたちのために祈っている』と。中にいたイスラムの人たちも教皇が私たちの味方だと感じます。戦争の状況ではあったけれど、いちばん平和な状況でした」と。

 イブラヒム神父にとって39日間は命がけあるとともに、キリストが語る「仕える者」の姿勢をよく学んだ時でもありました。

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