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みことばの響き

貧しさ 年間第28主日(マルコ10・17~30)

 数々の掟を子供の時からきちんと守ってきたという一人の男に対してイエスは「見つめ、慈しんで」言います。「行って持っている物を売り払い、貧しい人々に施しなさい」と。

 イエスが見つめる目、慈しむ目はどんなものだったのでしょうか。相手の心を見抜いていくのが分かります。また「慈しんで」とありますが、ギリシア語原文では「アガパオー」が使われ、もともとは「愛する」の意味です。さらに「持っている物を売り払い、貧しい人々に施しなさい」とイエスに言われたこの男は、ショックで立ち去っていきます。

 「たくさんの財産」とありますが、厳密には「土地」という用語の複数形が使われています。土地成金のような人だったのでしょう。確かに、ユデヤ人にとって富やたくさんの財産は神の恵みだと考えていました。

 例えば「あなたの神、主が与えられる土地であなたを祝福される」(申28・8)とあるように、土地をたくさん持っていることは、神に祝福されたものでした。しかし、イエスはそうではないと答えていきます。神の国にふさわしくないとさえ回答していきます。貧しさを強調します。

 CASIOという電気製品の会社があります。その創始者は樫尾忠雄さんという方でした。高知県の農家出身で14歳の時に旋盤工の見習いとなり、夜学で早稲田工業学校に学んでいきます。こうして父親とともにCASIO製作所を立ち上げました。やがて3人の弟が会社に加わります。長男の忠雄さんは経理担当、次男の俊雄さんは発明の才能がある。三男の和雄さんは負けん気が強く、営業向き。四男の幸雄さんは機械に強い。みんな一人前ではなかったけれど、お互いに補い合って会社を運営していきました。忠雄さんの言葉として、「貧乏だったことが、親が残してくれた最大の財産」と記しています。

 貧しさは思いやりや心の豊かさを培うのかもしれません。

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