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みことばの響き

40日間の荒れ野 四旬節第1主日(マルコ1・12~15)

 イエスは宣教活動を始める前に、霊によって荒れ野へ送り出され、40日間そこにとどまり、サタンから誘惑を受けます。とても厳しい条件下でした。「40」という数字が目に止まりますが、この数にはどんな意味が込められているでしょうか。旧約聖書の中では、ノアの洪水が40日40夜続く出来事。またモーセが民を導きながら、荒れ野で40年間生活し、さらにシナイ山に40日40夜滞在する出来事。またエリアが旅をしたのが、40日間です。このように、旧約聖書を振り返ってみると、「40」という数字には、試練や苦しみを表す特別な意味が感じられます。

 今日のみことばには、イエスが荒れ野で受けた40日間の細かい誘惑内容については記されていませんが、他の共感福音書からその具体的内容を味わうことができるでしょう。マルコ福音書ではただ、野獣と一緒におられたということから、危険の度合いをある程度、想像できるのではないでしょうか。そんな状況で、天使たちがイエスの周りに仕えていたとなると、とても心強いものです。

 アイルランドの西海岸にアイルランド語で「クロー・パトリック」という700m近くの山があります。「パトリックの山」とも呼ばれますが、かつてこの山で聖パトリックがイエスの荒れ野での40日間の体験に倣い、40日間留まって苦行した場所です。頂上には聖パトリックが使用したとされる石のベッドがあり、苦行の厳しさを物語ります。

 イエスや聖パトリックの苦行までには至りませんが、私たちも人生での荒れ野を体験したりします。例えば、自分が他人から疎外されたような孤独感、誰からも相手にされない無関心や無視。経済悪化に伴い、仕事を失った生活上の荒れ野。現代社会でも数多くの荒れ野の状況を考えることができます。荒れ野が深ければ深いほど、イエスがそうであったように、天使たちが周りに仕え、支えてくれるのではないでしょうか。キリストが体験した40日間の荒れ野はまた、私たちの人生での荒れ野と共有できるものを感じます。

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