「あなたがたのうち二人が地上で心を一つにして求めるなら、わたしの天の父はそれをかなえてくださる」というイエスのことばが、とても心に響いてきます。その中でも特に「心を一つにして」。
27年前になりますが、アイルランド出身のブラザーから「8月に姪がイングランドのウェリントンにある教会で結婚式を挙げるので、いっしょに来ないか」と、結婚式に招待されたことがあります。ウェリントンに限らず、その周辺の都市、リバプール、マンチェスターは、アイルランドから移住した人が多く、イングランドの中でもカトリック信者が多い地域です。ブラザーのお姉さんと姪さんも、もともとはアイルランドのスライゴに住んでいましたが、安定した生活を求めてイングランドに一家そろって移住しました。姪さんはカトリック信者ですが、結婚相手はプロテスタント(聖公会)の信者。結婚式はウェリントン市内のカトリック教会で行われ、ミサがささげられました。プロテスタントの方もミサに参加し、とても清楚な結婚式でした。主任司祭は、私に福音の朗読を依頼するほどの寛大さ。
アイルランドやイングランドで、カトリックとプロテスタントというと、ニュースなどで見る限り、お互いにいつも争い合っているように思いますが、実際には大半の人たちが仲良く暮らしています。この結婚式でも、宗教間の対立はなく、温かい、一致した雰囲気を実感しました。お互いの宗派を尊敬し合う雰囲気に満ちていました。式後、昼食は家族のみでの団欒のひととき。夕方から市内のパブを貸しきって、ダンスパーティー形式で披露宴がなされました。とても和やかで、終わったのは夜の11時近く。
この世界で種々の紛争、宗教間の争いが絶えませんが、それとは逆に宗教間の交流、対話が実現しているのも事実です。「心を一つにする」具体的な歩みを実感します。