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月刊澤田神父

「月刊 澤田神父」2023年2月号(新しい「ミサの式次第」第4回)※字幕付き

沈黙の典礼的意味
 日本語のミサ式次第が新しくなり、この機会に改めてミサの意味について話をしています。前回は、「ミサ曲」と呼ばれている4つの賛歌、「いつくしみの賛歌(キリエ)」、「栄光の賛歌(グロリア)」、「感謝の賛歌(サンクトゥス)」、「平和の賛歌(アニュス・デイ)」について話しました。
 ミサの流れの中では、「いつくしみの賛歌(キリエ)」、そして主日や祝祭日の場合は「栄光の賛歌(グロリア)」が唱えられ、その後に集会祈願が続きます。まず司祭が「祈りましょう」と招きます。その後、祈願を唱える前に、ミサの式次第では「一同は司祭とともにしばらく沈黙のうちに祈る」と定められています。司祭の招きと祈願文の間に「沈黙」のうちに祈る必要を強調するのです。
 この「沈黙」について、サンパウロ刊行の『キリストとわたしたちのミサ』では、公的文書『ローマ・ミサ典礼書の総則』45を参照しながら、次のように説明しています。「聖なる沈黙も、祭儀の一部として、守るべきときに守らなければなりません。沈黙の意味は、それぞれの祭儀のどこで行われるかによります。ゆるしを求める祈りのとき、および祈願への招きの後には、各人は自己に心を向けます。聖書朗読または説教後には、聞いたことを短く黙想し、聖体拝領後は、心の中で神に感謝し、神を賛美して祈ります」(『キリストとわたしたちのミサ』3ページ)。
 また、集会祈願の解説でも、沈黙の大切さを強調します。「次に司祭は、会衆を祈りへと招きます。そして一同は、司祭とともにしばらく沈黙のうちに祈ります。それは自分が神のみ前にいることを意識し、自分の願いを心に思い起こすためです。それから、司祭は集会祈願と呼ばれる祈りを唱えます」(『キリストとわたしたちのミサ』16ページ)。
 自分もそうなのですが、特にこうした祈願の招き「祈りましょう」と祈願文を唱える前の「沈黙」は、おろそかにしていることが多いような気がします。この機会に、ぜひ「沈黙」の意味と大切さを改めて見つめ直していきたいと思います。

ことばの典礼
 ミサは、主の晩さんの記念ですから、パンとぶどう酒による食事の形を取ります。しかし同時に、「神のことばの朗読」もミサの重要な部分をなしています。わたしたちは、神のことばによって養われ、キリストの御からだと御血によって永遠のいのちを受け、キリストの死と復活の神秘にあずかるのです。
 そのため、ミサの前半には「ことばの典礼」があります。『キリストとわたしたちのミサ』は、解説で次のように記します。「神のことばの朗読は典礼の最も大切な要素であり、一同は尊敬をもって、これを聞くとともに、答唱詩編、アレルヤ唱を通して、これに応えます」(『キリストとわたしたちのミサ』17~18ページ)。
 こうした「神のことば」の重要性を強調するためにも、これまでは第一朗読や第二朗読の結びがあいまいでしたが、今回は朗読者が「神のみことば」と宣言し、会衆が「神に感謝」と応唱することが明確にされました。また、福音朗読の結びも、これまでは朗読者が「キリストの賛美」と述べ、会衆が「キリストに賛美」と応唱していましたが、新しい式文では規範版に従って、朗読者が朗読の終わりに「主のみことば」と宣言し、会衆が「キリストに賛美」と応唱することになりました。規範版に従った小さな変更と言えばそれだけかもしれませんが、朗読の終わりに「神のみことば」、「主のみことば」とあえて「宣言」することは、これらの朗読がまさに神ご自身のことばであることを強調することを意図していると思います。
「ことばの典礼」のミサにおける不可欠さを改めて意識することにしましょう。

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澤田豊成神父

聖パウロ修道会司祭。1965年、東京都目黒区生まれ。1996年、司祭叙階。教皇庁立グレゴリアン大学神学科修士課程で聖書神学を専攻、神学修士号取得。現在は編集をとおしての宣教に従事。東京カトリック神学院、聖アントニオ神学院講師。

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