アルバの母院では、毎日友人の神父やシスターたちと会っていたが、みんなの口から出るのは励ましとお祝いの言葉であった。彼らは私たちに好意を持っていた。私たちの幸運をうらやむ人、もうこれが最後のお別れでもあるかのようにじっと見つめる人……。
みんなが掛けてくれる言葉の多くは次のようなものであった。「幸運ですね! 『神学の先生』があなた方を派遣してくださる、喜んで出発しなさい。あなた方の使徒職が実り豊かでありますように。行って、出版を武器にして遠い異国の人々に福音を告げ知らせなさい。聖パウロがあなた方と一緒にいてくださるでしょう。使徒の女王(聖マリア)があなた方を祝福してくださいますように。創立者の祈りが、すべての困難にあなた方を打ち勝たせてくださるでしょう」。
そうこうしているうちに、アルバで荷物(神の恵みでいっぱいの)の準備が整った。そこでそれらの荷物を、集合場所であるローマへと発送した。すべての準備が完了したので、いよいよアルバの共同体に最後のお別れを告げることになった。年長の私が挨拶することになった。大勢の人の前で話すことは容易ではない。そこで私は事前に、入念にスピーチの準備をしていた。しかし、いざその場になると、思っていることを心のまま素直に話した。そしてみんなが感動してくれた。
ローマではマルチェリーノ神父が待っていた。彼は私たちの到着の遅れにいら立っているようだった。パスポートや必要な書類はすでに準備してあった。あとは予防注射を受けることと、トリエステから到着する「コンテ・ヴェルディ号」に乗船するため、十一月九日に出発することであった。
ロレンツォ・バッティスタ・ベルテロ著『日本と韓国の聖パウロ修道会最初の宣教師たち』2020年