*司教、司祭、助祭の叙階式は、教会の生活にとって重要な出来事で、可能な限り多くの信者の参加を得て行われるべきです。司祭、司祭、助祭の三つの叙階式は同じ順序に従って、感謝の典礼の間に行われます。
1 按手
*叙階式の本質的な部分は、受階者の頭に司教が按手し、聖別の祈りを唱えるところです。この祈りは、受階者の上に聖霊と受階者がこれから行うべき奉仕に必要な聖霊のたまものとが注がれるよう神に願います。
*叙階式において、最初の部分で受階者の紹介と選出、司教の訓示、受階者との問答、諸聖人の連願があり、その後、司教と司祭には、奉仕の務めに豊かな実りを得させる聖霊の特別な注ぎのしるしである、聖香油の塗油が行われます。司教の叙階の場合には、福音書、指輪、ミトラとつえが授与され、司祭には神にささげる聖なる民の供え物を表すパテナとカリスとが授与され、キリストの福音を告げ知らせる使命を受けた助祭には、福音書が授与されます。
2 叙階の秘跡を授ける人
*叙階の秘跡は使徒的役務の秘跡なので、「霊的たまもの」「使徒の種」を伝授する権限は、使徒たちの後継者である司教にあります。有効に叙階された司教、すなわち、使徒継承に結ばれた司教が、叙階の秘跡の三つの段階を有効に授けます。
3 叙階の秘跡を受けることができる人
*「洗礼を受けた男子のみが聖なる職階に有効に叙せられることができます」。イエスは12院の使徒団を形成するために男子を選びましたし、使徒たちが自分たちの任務の後継者となる協力者たちを選んだ時も同様でした。
*ラテン教会で叙階されるすべての役務者は、終身助祭を除いて、通常は独身者で、「天の国のために」(マタ19・12)独身を守ることを決意した男子信者の中から選ばれます。ひたすら主と主のこととに専念するよう召された司祭は、自分のすべてを神と人々とに委ねます。独身制は新しいいのちのしるしであって、教会の役務者はこのいのちに奉仕するために聖別されます。
4 消えない霊印
*叙階の秘跡は、キリストの道具となって教会に奉仕させるため、聖霊の特別な恵みによって人をキリストに似た者とします。叙階によって、祭司・預言者・王というキリストの三職を、教会の頭であるキリストの代理者として果たすことができるようになります。
*洗礼や堅信の場合と同様、このキリストの任務への参与はただ一度ゆるされるだけです。叙階の秘跡もまた、消えない霊印を与えるので、繰り返し受けることも、期限付きで授けることもできません。
5 聖霊の恵み
*この秘跡に固有な聖霊の恵みは、人を祭司・師・牧者であるキリストに同化させることです。叙階を受けた者は、そのキリストの役務者となります。
*司教が受ける恵みはおもに勇気の恵みです。すなわち、すべての人、とくに貧しい人、病人、困窮者に対する無償の愛をもって、父のように、羊飼いのように、教会を力強く賢明に導き、擁護するための恵みです。この恵みにより、司教はあらゆる人に福音を告げ知らせ、その群れの模範となり、エイカリスチアにおいて祭司でありいけにえであるキリストと一体となりながら、自分の羊のためにいのちを捨てることをも恐れず、聖化の道を群れの先頭に立って進むよう促されます。
*司祭叙階によって与えられる霊的賜物は、司教の按手の際の祈りに現れています。
「主よ、あなたが司祭の位階に高めてくださった者を聖霊のたまもので満たし、非の打ちどころなくあなたの祭壇の前に立ち、み国の福音を告げ知らせ、あなたの真理のことばの奉仕を果たし、霊的供え物と犠牲をささげ、新たに造り変える洗いを通してあなたの民を一新させることができるようにしてください。」
*助祭は、「秘跡の恩恵に強められて、司教および司祭団との交わりの中で、典礼とことばと愛の奉仕において神の民に仕えます。」