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みことばの響き

大人の仲間入り 聖家族(ルカ2・41~52)

 今日は「聖家族」の典礼ですが、福音の箇所は過越祭を舞台にした内容が登場します。律法によると、過越祭、五旬祭、幕屋祭などの三大祭には、男子は皆、礼拝のためにエルサレムへ行かなければなりませんでした(出23・14~17、34・23~24)。それは年に三度、主の御前に立つことを規定するものでした。しかし、多くのユダヤ人はエルサレムから遠くに住んでいたため、この規定をすべて守ることはとても困難で、毎年一回、少なくともこれら三つの祭りの中でいずれかに参加していました。ただし、女性に対しては参加する義務規定は定められていませんでした。

 さてイエスは12歳になり、慣習に従って都エルサレムに上ります。ユダヤ人にとって、12歳というのは、「律法の子」となる年齢です。すなわち、この年齢から律法の規定を守る義務が生じ、大人としての宗教的責任が生じてきます。大人の仲間入りをするイエスにとって、この過越祭は大きな意味を持っていました。

 祭りが終わり、帰路に着く時のこと。12歳というと、両親とあまり歩きたくない年齢かもしれませんが、イエスも同じような気持ちだったのかもしれません。イエスは両親と離れ離れになってしまいます。両親はイエスが岐路に着いていると思っていましたが、実際にはそうでありませんでした。「道連れ」と表現されていますが、これはギリシア語で「シノディア」が使われ、「いっしょに道を歩く」ような意味合いを持っています。つまり、迷子にならないようにパーティーを組んで巡礼するイメージが出てきます。郷里の町や村から隊列を整え、パーティーを組みながら進んでいく…。

 三日の後、両親はイエスが神殿の境内で学者たちと話していることに気づきます。「三日の後」は復活を暗示するようなメッセージ。また学者たちと話すのは、受難を前にしたイエスとユダヤ人の宗教的権威者たちが神殿で行う論争に似ています。

 こうした種々の有様を見ながら、イエスの人間的な側面がよく見えてきます。

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