序)堅信について考えてきましたが、堅信式はどのように行われるのでしょうか?
1 堅信式
*堅信式に先立って行われ、ある意味では儀式の一部ともいえる重要な式は、聖香油の聖別です。司教様は、聖木曜日の聖香油のミサの中で、(教区によっては、木曜日が難しいので、火曜日か水曜日)自分の教区全体のために聖香油を聖別します。(東方教会では、この聖別は総大主教だけが行えることになっています。)
*アンティオキアの典礼は、聖香油(ミュロン)聖別のエピクレシスを次のように唱えます。「(父よ、あなたの聖霊を)わたしたちと、わたしたちの前にあるこの油の上に(送り)、聖なるものとしてください。この油が、それを塗られるしるしをつけられたすべての人にとって、聖なるミュロン、祭司のミュロン、王の香油、光の頃も、救いのマント、いのちの保護者、霊的たまもの、霊魂と肉体の聖化、心の喜び、不朽の幸福、消えない証印、信仰の盾、サタンのあらゆる働きに対する恐るべき<かぶと>となりますように」。
*ローマ典礼の場合のように、堅信が洗礼と切り離して行われる時には、この儀式は受堅者の洗礼の約束の更新と信仰宣言とで始められます。こうして、堅信は洗礼につながるものであることが明白にされます。成人が洗礼を受けた時には、直ちに堅信を受け、聖体を拝領します。
*堅信において、司教は受堅者の上に手を伸べますが、この動作は使徒時代から引き継がれてきている聖霊が与えられる時のしるしです。司教は次のことばで聖霊の注ぎを懇願します。
「全能の神、主イエス・キリストの父よ、あなたは水と聖霊によってこの人々に新しいいのちを与え、罪から解放してくださいました。今この人の上に、助け主である聖霊を送り、知恵と理解、判断と勇気、神を知る恵み、神を愛し敬う心をお与えください。わたしたちの主イエス・キリストによって」。
*続いて、秘跡の本質的な儀式に移ります。ラテン典礼では、「堅信の秘跡は受堅者に按手して、『父のたまものである聖霊のしるしを受けなさい』と言いながら、聖香油を塗布することによって授けられます」。ビザンチン典礼の東方教会では、ミュロンの塗布はエピクレーシスの祈りの後で、額、目、鼻、耳、唇、胸、背、手足というからだの重要な部分に行われます。そして、各部分に塗油するたびに、『たまものである聖霊のしるし』という言葉が述べられます。
*堅信式を締めくくる平和の挨拶には、司教ならびに全信者との教会的な交わりという意味が込められており、そのことが表現されています。
2 堅信の効果
*堅信の効果は、かつて聖霊降臨の日に使徒たちに行われたのと同じように、聖霊の注ぎが行われることです。
①わたしたちに神の子としての身分を強め、深めてくれます。
②わたしたちをいっそう固くキリストに結びつけてくれます。
③わたしたちのうちに聖霊のさまざまな賜物を増やしてくれます。
④わたしたちと教会との結びつきをより完全にしてくれます。
⑤聖霊の特別な力を与え、キリストの真の証人とする。
*堅信は洗礼の完成ですので、洗礼と同様にただ一度だけ授けられます。堅信は人の霊魂に消えない霊的なしるし、「霊印」をしるします。