税金がだんだん高くなってくると、人々の不満もいっそう高まってくるものです。以前、消費税が5%ですが、今では10%になっています。10%になった時には、人々も不満も増大していました。
今日のみことばに登場するファリサイ派やヘロデ派の人々にとって、税金はとても深刻な問題でした。彼らは通常の税の他に、ローマ皇帝に税を払っていたので、二重の重荷を抱えていました。そういう状況において、「皇帝に税金を納めるのは、律法に適っているか」という問いは、「納める」と答えればユダヤ人の反感を買うことになるし、「納めない」と答えると、ユダヤ人は喜ぶけれども、ローマ皇帝への反逆罪として訴えられることになります。こうしたジレンマに対して、イエスは「皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返しなさい」と的確に答えていきます。
ジレンマと言えば、今から約400年前、キリシタンに対して迫害が厳しくなり、その取り締まりのために、踏み絵が使われるようになります。そんな状況にあって、踏み絵を踏まずに殉教した人もいるでしょう。また逆に踏み絵を踏んで種々の呵責に悩んだ人もいたでしょう。一つには踏み絵を踏んだという自分自身の弱さを責める。「怖い」「死にたくない」など。また踏むことにより、他の人たちからはキリシタンを裏切ったということで、冷たい目で見られたり、悪者のレッテルを貼られたり…。こうしたジレンマにさいなまれた方々が多かったと思います。しかし、彼らは踏み絵をいったん踏んだかもしれないが、後で回心し、司祭がいない時代にあってキリスト教を次の世代に伝えたことも確かです。辛いジレンマを体験したけれど、そんな彼らがいたからこそ、今の私たちが存在しているように思います。もし殉教していれば、今の私たちは存在しなかったでしょう。
いつの時代でもジレンマがあります。そんな時、神様は必要な時、必要な回答を与えてくださるのだと思います。