*ミサ中の「信仰宣言」において、「ニケア・コンスタンチノープル信条」において「聖霊によって、おとめマリアよりからだを受け、人となられました」、短い「使徒信条」において、「主は聖霊によってやどり、おとめマリアから生まれ」と祈ります。どちらの祈りでも「聖霊によって」、「おとめマリアから生まれ」と、同じ内容を含んでいます。
1 聖霊によって…
*人の誕生は、通常、男女の関係によって生じるものです。
イエスの場合はどうでしょうか?
聖霊の力によって、イエスが誕生をすることがマタイ福音書、ルカ福音書の中で語られています。
*聖書にはどのように記されているでしょうか?
「イエスの母マリアはヨセフと婚約していたが、同居する前に、聖霊によって身ごもっていることが分かった。マリアの夫ヨセフは正しい人で、マリアのことを表ざたにするのを望まず、ひそかに離縁しようと決心した。ヨセフがこのように考えていると、主の使いが夢に現れて言った、『ダビデの子ヨセフよ、恐れずにマリアを妻として迎え入れなさい。彼女の胎内に宿されているものは、聖霊によるものである。彼女は男の子を産む。その子をイエスと名づけなさい。その子は自分の民を罪から救うからである』」(マタイ1・18~21)と。
*この当時、結婚する前に妊娠していることが分かれば、石殺しの刑になった。ヨセフは裁判所に訴えることができたが、それをしなかった。「聖霊」に宿っていることを理解したからである。またマリアを傷つけようとはしなかった。まさに「聖霊」の働きに信頼したのである。
*ルカ福音書では、どのように記されているだろうか?
み使いガブリエルを通して次のように語られます。「恐れることはない、マリア。あなたは神の恵みを受けている。あなたは身ごもって男の子を産む。その子をイエスと名づけなさい。その子は偉大な者となり、いと高き方の子と呼ばれる」。(中略)マリアはみ使いに言った、「どうして、そのようなことがありえましょうか。わたしは男の人を知りませんのに」。み使いは答えた、「聖霊があなたに臨み、いと高き方の力があなたを覆う。それ故、生まれる子は聖なる者、神の子と呼ばれる。(中略)神には、何一つでおできにならないことはない」。マリアは答えた、「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身になりますように」。
*この場面でも「聖霊」の働きが強調されます。私たちの思いをはるかに超えていることが分かるものです。マリアはこの特別な恵みを敬意をもって受け入れます。
*聖霊はおとめマリアの胎内を聖化し、神の力によってマリアを懐妊させるために遣われました「いのちの与え主」である聖霊は、御父の永遠の御子をマリアと同じ人間性を持ったものとして宿すようにしたのです。
2 おとめマリアから生まれる
*神はこの世界に御子イエス・キリストをお遣わしになりました。(ガラ4・4)しかし、そのからだを備えるために、神は一人の女性の自由な協力を望まれました。そのため、永遠から、神は御子の母として一人のイスラエルの娘、ガリラヤのナザレに住む「ダビデ家のヨセフという人のいいなづけであるおとめ、その名はマリア」(ルカ1・26~27)というユダヤ人の娘を選ばれます。
*マリアは「主の謙虚な貧しい人々。すなわち信頼をもって主から救いを希望し、それを受け入れる人々の中で、特に秀でています。」