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霊的生活の模範 使徒聖パウロ

キリストの兵士――霊的生活の模範 使徒聖パウロ(8)

28 「キリストの良き兵士として苦しみを耐え忍びなさい」(Ⅱテモテ2,3 参照)。
 「最後に言う。主に依り頼み、その偉大な力によって強くなりなさい。悪魔の策略に対抗して立つことができるように、神の武具を身に着けなさい。わたしたちの戦いは、血肉を相手にするものではなく、支配と権威、暗闇の世界の支配者、天にいる悪の諸霊を相手にするものなのです。だから、邪悪な日によく抵抗し、すべてを成し遂げて、しっかりと立つことができるように、神の武具を身に着けなさい。立って、真理を帯として腰に締め、正義を胸当てとして着け、15平和の福音を告げる準備を履物としなさい。なおその上に、信仰を盾として取りなさい。それによって、悪い者の放つ火の矢をことごとく消すことができるのです。また、救いを兜としてかぶり、霊の剣、すなわち神の言葉を取りなさい」(エフェゾ6,10-17 )

29 「神が与えてくださる武具を身につけなさい」(エフェゾ6,11)。人間としての、キリスト信者としての、司祭としての三つの奮闘の状態がある。「神の子は、悪魔の業を滅ぼすために現れたのです」(Ⅰヨハネ3,8 )。
 この三つの、どの身分にいようとも、みんな奮闘しなければならない。
 司祭は、なおさらそうすべきである。奮闘のない生涯はありえない。今日でも奮闘はなおいっそう必要である。
 イエス・キリストは奮闘しなければならなかった。パウロは奮闘しなければならなかった。

30 武具は肉欲ではないし、ただの自然なものではない。武具はなんといっても霊的なものである。すなわち信徳、祈り、愛徳である。科学や芸術や党派やスポーツや腕力だけでは足りない……。次のものが必要である。
 (神のみことばである)精神の喜び。すなわち宣教したり、著述したりして、いつも正しい明確な思想を普及しなければならない。
 戦う人は(とくに司祭であれば)正直であり、誠実でなければならない。そういう人は、たしかにまちがっていることや本当の悪徳とだけ戦うのである。しかし、本当のことを、いつも、率直に、どこにおいても言わなければならない。
 私は正義のよろいを身につけた。戦う人は、敬虔で、非のうちどころのない人でなければならなず、みんなに対して、特に敵対者に対しても公正でなければならない。
 履き物を履いて福音を告げる準備をする。それは感じやすさとか、ねたみとか人の顔をうかがうことではない。また、へつらいとか、非難とかに司祭は屈服してはならない。

31 すべてにおいて「信仰の盾をかざしなさい」(エフェゾ6,16) 。いつも教会の明確な教えを擁護しなければならない。福音の教えを擁護し、真実と公正を守らなければならない。
 また「救いのかぶとを頭にいただく」(エフェゾ6,17)ヘルメットは頭を守ってくれる。決して気をくじくような考えをいだくな。
 あらゆる祈りと願いをもって……祈りなさい。祈りが最も強力な武器である。祈りがなければ、どんな苦労も水の泡である。祈りに合わせて、苦労をすればどんな苦労でも課しかに神の助けを招くことになる。
 私も卑怯者のひとりだろうか? あるいは強情者の仲間のひとりだろうか?
 私はパウロに似たものとなければならない。「たとえ天の使いであっても……」パウロはローマ皇帝に上訴する……。一箇所で強く反対されて何もできなくなればよそでやり直す……。「私は良い戦いを戦った」(Ⅱテモテ4,7 )。

師イエスに向かって

32 「義のために迫害される人は幸いである」(マタイ5,10)。
 「敵を愛し、あなたがたを迫害する者のために祈りなさい」(マタイ5,44)。
 「主は私ののがれ場、私の旗印」(詩編17,3)。
 「おまえは私の恵みで十分だ」(Ⅱコリント12,9)。
 「小さい群れよ。恐れてはならない。あなたたちにみ国をくださるのは、あなたたちの父のみ心である」(ルカ12,32 )。
 「わたしたちの戦いの武器は、『肉』のものではなく神に由来するもので、要塞をも打ち壊すほどに強力です。わたしたちはつまらない議論を打ち破り、神の知識に逆らって高慢にも頭をもたげるものをすべて打ち倒し、あらゆる思惑を虜にしてキリストに従わせる」(Ⅱコリント10,4-5)。私は感覚に対して根気よく戦いながら、毎瞬自分自身を克服しなければなりません。
 模範や説教や忍耐によってまいた善業で悪を打ち破らなければなりません。
 祈りと勉学と最多数の刊行物によって、誤謬を論破しなければなりません。「信仰と優しさにおいて強くあれ」
 イエスよ、私を祝福してください。

 ロザリオの祈り、ミゼレレ。

・『霊的生活の模範 使徒聖パウロ』(ヤコブ・アルベリオーネ著、池田敏雄訳)1987年
現代的に一部不適切と思われる表現がありますが、当時のオリジナリティーを尊重し発行時のまま掲載しております。

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