山道、平坦な道、荒れた道など、私たちにはいろいろな道があります。
15年前の9月中旬、尾瀬を散策したことがあります。夜行バスで新宿を出発しましたが、台風が到来していることもあり、乗客は予定の三分の二ほど。空席ができて荷物を置く場所が増えましたが…。早朝に鳩待峠に着き、至仏山(2228m)に向けて出発。登山口には「熊に注意」と記され、クマ除けの鈴を持参していなかっただけに、頂上に向かって歩いていくのも何となく不安な感じでした。台風の影響もあり、横殴りの雨、視界不良で歩く人も少なく、頂上までに出会った人は一人だけ。熊だって台風の影響で避難していたのでしょう。本来なら頂上でノンビリ過ごしたかったのですが、悪天候の中、いろいろなものが吹き飛ばされそうでした。趣味とは言え、登ってきたことに後悔するほどでした。頂上ではだんだん寒くなり、尾瀬ケ原の方へ下山することにしました。不思議なことに、下山するについて視界が開け、尾瀬にある山ノ鼻に着くとすっかり晴れ渡りました。相変わらず「熊に注意」の看板が目に付き、熊を気にしての歩行でした。尾瀬ケ原の木道を歩いていると、両脇には紅葉が始まり、野草の鮮やかな色合い。目前には日本百名山の一つ燧ケ岳(ひうちがだけ)がどっしりとそびえています。午前中の嵐もどこ吹く風で、心和む風景に楽しい散策となりました。
さて今日のみことばで「わたしは道であり、真理であり、いのちである」とイエスは語ります。パウロ家族にとっては霊性の根幹とも言える言葉です。私たちにはいろいろな人生の道がある中で、根源になるものです。道の中でも最高の道はイエスの十字架の道と復活への道。十字架の道は孤独、軽蔑、苦痛を味わうものであり、復活への道は喜び、平和を伴うものです。一人ひとり違う人生の道を歩み、キリストの種々の道と共鳴しながら歩みたいものです。