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ソウルのカトリック・ラジオ局

同じ一九六一年十二月二日の夜、釜山から夜行列車でソウルに到着したとき、駅には李大司教の代理と、一年ほど前から韓国に来ていた聖パウロ女子修道会のグループ、そして日本語を流ちょうに話す一人の青年が待っていた。その青年はすぐに私に話しかけてきた。

 「あなたが東京でラジオ局を作ったマルチェリーノ神父様ですね。今、ソウルにはもう一つラジオ局を作る計画があります。その認可が政府から得られるものと私は確信しています。さっそく明日にでも、私たちはその手続きを急いで始めなければなりません!」

 私は日本で体験した、ラジオ局開局に際しての苦労というものをよく知っていた。そして今、韓国における新しい事業の成功を少しの疑いもなく確信しているこの青年の言葉に少し嫌気がした。そこで私は、「問題を調べるために、後日改めて話を聞きます」と彼に約束して、とにかくひと休みさせてくれるように頼んだ。

 ところがこの青年の計画というのは、宙に浮いた空想などでは決してなかったのだ。

 私は韓国における「ラジオ局の開局」という問題を、その道によく通じた人たちとよく研究し、彼らと一緒に韓国の情報相やラジオ電波管理局の局長を訪問し、あの青年の語った情報が明らかに全て事実であると分かった時、初めてローマのアルベリオーネ神父に宛てて手紙を書いた。

 「カトリック・ラジオ局が持てる可能性があります。すべて私たちのもので、韓国全土で聴取が可能なラジオ局です。そしてそれを設立するのは私ではなく、あなたであるということが必要です。私は、短期間で開局のための資金を集めるという責任を負うには、あまりにも年を取りすぎています。すべての面であなたが指示されるという条件で、すなわち番組の内容に関しても、その所有権についても、またそれ以後の十分な自主的経営についても、最善の条件で私は認可のための手続きをあなたに確約することができます。もっとも所有権は「形式上」、二人の韓国人大司教と二人の韓国人司教、さらに二人の韓国人修道会の創立者と、一人の聖パウロ修道会会員(それは私となるでしょう)で構成される委員会に属します。しかし担当司教の署名と、教皇公使の連署による書類によって、私たちの権利は十分に承認され、すべての権限と責任は私たちの会に与えられています。聖座はそれ以上何もなさることはなく、まさに盤石です。韓国人聖職者による株式会社は、一般の法律と同様に、ただ当局に提出する書類上の表記の問題だけです。どうか早めのご意見をお願いします。ありがとうございます」。

 数日後、私はパウロ会の副総長ザノーニ神父の署名による手紙を受け取った。それには、

 「プリモ・マエストロは、あなたに次のように伝える任務を私に与えました。すなわち、ソウルにおけるラジオ局の設立計画を承認したということ。手続きに間に合うよう、開局に必要なお金十六万五千ドルを振り込む約束をします、と。(署名)」

 この創立者からの約束の手紙をもらうと、私は計画していた株式会社設立のために二人の大司教と二人の司教、そして韓国人修道会の上長に集まってもらい、R.C.A(Radio Corporation of America)から機材を購入するための交渉を開始した。そして設立に関する朴大統領からの明白な認可を得た。その大統領認可は、プロテスタントとカトリックとの融和・協力も盛り込まれているもので、両者のテレビ放映の協力という約束もついていた。しかしその後の展開が、この計画の実現を妨げてしまうことになったのだ。

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