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展望と希望

監修者注:本稿は聖パウロ修道会の本部記録保管所に収められている、パウロ・マルチェリーノ神父の「覚え書き」による。

 大韓民国(韓国)が北朝鮮に対してとらざるを得なかった国境線の位置は、その人口(約二千五百万人)と比べて不釣り合いなほど多くの常備軍を保持させることになった。

 そのため健康なすべての韓国人の青年は約三年間、義務として軍務に服さねばならない。このことは司祭や修道者の召命と養成にとって、特別な困難さをもたらしている。さらに教皇庁教育省の認可を受けた神学校に通っていない神学生たちは、実際問題として司祭叙階ができないのである。幸い、ソウルと光州の二つの大神学校と、イエズス会の大学はバチカンから正規の認可を受けている。

 聖パウロ修道会の将来の活動に対する、韓国の聖職者および信徒たちの期待は大きい。聖パウロ修道会はこの国ではよく知られた存在であり、その使徒職はかねてより待望されていた。彼らの期待の大きさには、本当にこちらが当惑するほどである。

 しかし、私たちの会の使徒職に寄せる周囲の期待は決して裏切られることはないと私は固く信じている。この私の断言については、聖パウロ修道会の総顧問アントニオ・チェザーレ神父が、一九八四年九月の韓国訪問後にまとめた報告書の次の言葉が、それを如実に証明している。

 「巡察使たちは、召命の面でも使徒職の面でも、立派に発展の可能性があることを確認した」と。

 以下に、若き聖パウロ修道会会員のアンブロジオ・バックの報告を紹介しよう。

 「ソウルの共同体は今のところ一つだけだが、九人(司祭三人、そのうち二人はイタリアで学んだ韓国人のジャコモ神父とパオロ神父、終生誓願の修道士三人、このうちの一人は韓国人初のベルナルド修道士、そして有期誓願の修道士が三人)のメンバーで構成されている。共同体の若者たちは十五人。そのうち三人が一年間のポストランテ(志願期)、七人が昨年の十一月にポストラート(修練期)に入った。ポストランテの一人は、日本で修練に入ることになっている。現在、韓国には有期誓願期や修練期を過ごすための準備が整っていないので、どうしても日本かイタリアに移動しなければならない。これが私と兄弟会員たちの置かれている現実である。韓国にいる三人の有期誓願者のうち二人は、二つある書店の一つで午前中は使徒職を行い、午後はある修道会で神学の課程を学んでいる。もう一人は出版社に勤務している。それに対して、ここローマで教育を受けている者は、言葉や環境への適応という軽視できない困難はあるものの、時間とともにそれらを克服し、イタリアと西欧の文化を聖パウロの精神をもって受け入れてきている。それは私たちの国の文化とは、大きく異なっていた。私たちは共同生活の中で、学び、祈り、使徒職を遂行することによって、祖国に帰った時に私たちを待ち受けているであろう現実と向き合うべく、日々準備に励んでいる。多くの困難と災難にもかかわらず、私たちを取り巻く状況は、すばらしい希望に向かって大きく開かれている」。

 現在、韓国で発刊されているカトリック出版物は、大邱教区が発行している「カトリック新聞」を除くと、プロテスタントの出版物と比較してごくわずかなパーセントにすぎない。為すべき仕事は膨大にあり、カトリック出版物は絶対に必要であるが、それはとても困難な仕事でもある。この目的に向かって、全カトリックの総力を動員する牽引車となるのが聖パウロ修道会の任務に違いない。

ロレンツォ・バッティスタ・ベルテロ著『日本と韓国の聖パウロ修道会最初の宣教師たち』2020年

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