東京で「バカ」、関西で「アホとちゃうねん」と言われてもそんなに頭にこないのでしょうが、逆に東京で「お前アホか」、関西で「お前はバカか」と言われると、とても頭にくるようです。同じ言葉でも地域によって感じ方が違います。
あるお父さんが子供に対して口癖のように「バカ」、「バカ」と言っていたら、子どもが「お父さん、僕に対してそんなに『バカ』、『バカ』と言われると、僕はほんとうにバカになるよ」と答えたそうです。
今日の言葉で「兄弟に『ばか』(ラカ)と言う者は、最高法院に引き渡され、『愚か者』(モロス)という者は、火の地獄に投げ込まれる」とあります。それに対して、フランシスコ会訳は「兄弟に『愚か者』(ラカ)と言う者は、衆議会に引き渡され、『ばか者』(モロス)と言う者は、火の地獄に投げ込まれる」とあります。両者には同じ語ではあっても、訳が違っています。本来はどんな意味かを原文のギリシア語で調べてみると、「ラカ」は「頭がからっぽ」、「モロス」は「愚かな」「間抜けな」「馬鹿げた」といった意味を持っています。これらのことから、「ラカ」「モロス」に含まれている「バカ」や「愚か者」の意味が分かるのではないでしょうか。
また「ばか者」(ラカ)とは、ユダヤ人の間では、神を敬わない者の意味に用いられていました。「愚か者」という場合には、みことばの中にも出てくるように、火の地獄に投げ込まれると言います。つまり、重い刑罰を受けることです。いずれにせよ、とても軽蔑的な表現ではあるので、私たちはこれらの言葉をかけられたくないし、かけないようにしたいものです。しかも相手が「兄弟」であるので、いくら身近な人とはいえ、尊敬すべきでしょう。「親しき中にも礼儀有り」という言葉があるように…。