今日のみことばで「あなたがたは、わたしが地上に平和をもたらすために来たと思うのか。そうではない。言っておくが、むしろ分裂だ」(ルカ12・51)というメッセージは、理解に苦しむのではないでしょうか。
イエスのメッセージには、ヨハネ20章によく出てくるように「あなたがたに平和があるように」ということばがとても印象に残っています。つまり、イエスのイメージは「平和」がしっかりと焼きついています。それからすると、「平和」ではなく、「分裂だ」というのが何となくしっくりきません。しかし、種々の出来事を振り返ってみるとなるほどと思われることが多々あります。
8月20日は、聖パウロ修道会の創立記念日です。1914年に創立されましたので、今年は108年になります。1914年というと、第一次世界大戦が始まった年です。戦争は7月に始まり、世界的に大変な状況で、イタリアにもその影響がありました。そういう困難な状況で修道会が始まっていきます。創立されてからも、借金に負われる日々、何にもない状態、人手不足、種々の嫌がらせ……。たくさんの困難がひしめきあっていて、創立当初から「平和」というよりも、運営していく上での仲間割れ、分裂のような状況さえ生じました。種々の困難があっても創立者ヤコブ・アルベリオーネ神父の思いの中にはいつも「自分が修道会を創立したというのではなく、神様が修道会を創立した」という思いが強くありました。修道会創立にあたって体験したアルベリオーネ神父の姿を思い起こす時、「平和ではなく分裂」の思いがよく分かるような気がします。
私たちの歩みでも「平和」よりも「分裂」を体験することがあるでしょう。そんな時には、今日のみことばが心によく響いてくるのではないでしょうか。