カトリック教会では、ミサが秩序正しく適切に行われるよう、ミサ典礼書に従ってその祭儀が行われることになっています。このミサ典礼書のはじめの部分に、ミサを行う際の種々の決まりをまとめた総則が掲載されています。一九六九年四月三日に公布された現行のミサ典礼書の総則(79)に、ろうそくの本数について、次のような決まりが見られます。「祭壇上もしくは祭壇の近くに、少なくとも二本、あるいは四本もしくは六本、またはその教区の司教が司式をする場合には七本、火をともしたろうそくを立てるものとする。」
ミサの際に祭壇上あるいはその近くに置かれているろうそくの本数が、教会によって異なる場合があるのは、二、四、六という偶数の本数、そしてその教区の司教が司式をする場合には七本のろうそくを用いることができるという多様性を認めた、上記のミサ典礼書の総則に基づくものです。最も多い七本というろうそくの本数は、ヨハネの黙示録1章13節に基づいていると言われています。「わたしは、語りかける声の主を見ようとして振り向いた。振り向くと、七つの金の燭台が見え、燭台の中央には、人の子のような方」(=キリスト)がおられたと、ヨハネは神から示された光景を書き記しています。そのため、キリストの代理者として最高の恵みと権限を委ねられている、その教区の司教が司式をする場合には七本、それ以外のときには、より少ない数で二、四、六という偶数の本数が規定されています。これら(二、四、六)の数には、何か特別な意味が込められているというわけでなく、左右のバランスのためであると思われます。
典礼が行われるための場所は、修道院などの小さな聖堂や小教区の教会堂、また司教を中心として教区の司祭、助祭、大勢の信徒が集うことがある司教座聖堂(カテドラル)であったりして、その広さには多様性があり、またそこに設置される祭壇の大きさも異なってきます。そのためミサ典礼書の総則は、それぞれの教会堂(聖堂)の広さや祭壇の大きさに応じて適応できるよう、祭壇上あるいはその近くに置かれるろうそくの本数に幅を持たせているのです。
・回答者=白浜満神父