<はじめに>
教義の中で説明が難しいのは、三位一体と受肉。
三位一体のことを英語ではTrinity、受肉をIncarnationと表現します。
今回は三位一体のことに絞って考えてみましょう。
二十数年前ですが、アイルランドに半年間住んだことがあります。小さな国ですが、緑の草原が広がり、羊をよく見ます。
アイルランドの色と言えば、モスグリーンです。これは三つ葉よりも少々小さめのシャムロックという草に由来します。日本ではあまり見かけませんが、三つ葉を少し小さくして、色はすこしかすみがかった感じを想像したらよい。
アイルランドの有名な聖人と言えば、聖パトリックです。ダブリンから西へ車で3~4時間行った所にウェストポートという町があり、さらに少々西へ行った所に「クロー・パトロック」という山があります。毎年7月最後の日曜日、約3万人くらいの方がこの山に巡礼登山をする。標高764メートルくらいあるでしょうか…。裸足で登る人もいます。ここでパトリックが40日間修行したことにちなんだものです。私も二回登りました。
この聖パトリックにちなんだことで、アイルランドに蛇が一匹もいない。それは聖パトリックがアイルランドから追い出したので…。一匹くらいいるだろうと思って、あちこち見たことがありますが、確かに蛇はみませんでした。
また三位一体ともゆかりがあります。この教義はとても難しいのですが、聖パトリックが足元にあるシャムロックをつんで、頭は三つだけど、一つの芯でつながっている。三位一体も三つのペルソナだけど、唯一の神だと説明しました。
このシャムロックがモスグリーンということもあり、アイルランドの色はこれが使われ、アイルランド航空もこれがシンボルマークとして使われています。アイルランドは三位一体とゆかりが深い国と言える。ダブリン市内には名門校としてトリニティ・大学があり、国立大学。
1)三位一体という表現
これは紀元200年ごろからキリスト教の中心教義を示すために使用された表現。
無限の本性において、唯一の神は実際に区別される三つの位格(ペルソナ)、すなわち父・子・聖霊である。
それでいて、父である神は子である神ではなく、父は子を永遠において生み、子は永遠において生まれる。聖霊は父でも子でもなく、父と子から永遠に発出する神性をもつ別個の位格(ペルソナ)である。三つのペルソナは共に平等であり、共に永遠、同実体であって、同等に賛美され、礼拝されるべきものである。
聖書の中で、「三位一体」という表現はないが、「あなたがたは行ってすべての国の人々を弟子にしなさい。父と子と聖霊のみ名に入れる洗礼を彼らに授け」(マタ28・19)とか、「主イエス・キリストの恵み、神の愛、聖霊の交わりが、皆さん一同とともにありますように」(二コリ13・13)というように、三位一体の内容が込められている。
三位一体のTrinitasという言葉が使われているが、TRIAS(三者)という語を初めて使ったのは、アンティオキアのテオフィロス(180年ごろ)、さらに、この語からTRINITAS(三一者)という語を作り出したのは、カルタゴのテツトゥリアヌス(200年ごろ)とされている。三位一体という考えが始まったのは、だいたい200年ごろとされている。
2)三位一体の内容
御父は、御子と聖霊の永遠の源であり、イエスにとって、独自の意味で父であり、人間にとってもまた、父である。
御子は永遠より父から生まれ、御父の完全な姿であり、みことばであり、すべてのものは、かれを通してつくられたものであり、人間の救いのために人間となられたお方です。
聖霊は御父と御子から出て、すべてを受け、御父から御子を通して人間におくられ、人間の心に神の愛を与えるおかたである。
3)異端
*三神論
父・子・聖霊の三つのペルソナを認め、それらが一体であることを否定して三神論に走ったひともいた。
*一神論
父だけを神として肯定し、子・聖霊との神性を否定する。