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みことばの響き

社会的格差 待降節第三主日(ルカ3・10~18)

 尖閣諸島の問題で、日本と中国との関係がとても微妙な状況が続いていますが、中国そのものの大きな問題としては、貧富の格差が取り上げられています。それと並行して、仕事や手続きを早めるためにコネを使ったりすること…。日本の社会でも多少はあるかもしれませんが、中国の場合には、それは顕著な問題としてまかり通っているようです。

 貧富の格差やコネなどの問題は、イエスの時代も同様でした。今日のみことばからその雰囲気が感じられます。まず群衆が洗礼者ヨハネに尋ね、彼は次のように答えます。「下着を二枚持っている者は、持っていない者に分け与えなさい。食べ物を持っている者もまた、同じようにしなさい」(ルカ3・11)と。つまり、持っている人とそうでない人の貧富の格差が存在していることを感じさせます。また徴税人が同様に尋ね、彼は次のように答えます。「規定以上に取り立ててはならない」(ルカ3・13)と。つまり、徴税人という役職を利用して、私腹を肥やしていた事実や不正を働いていたことが浮かび上がってきます。また兵士たちも尋ね、彼は次のように答えます。「誰からも脅し取ったり、ゆすったりしてはならない。自分の給与で満足しなさい」(ルカ3・14)と。兵士という立場を利用して、人を脅したり、強迫していた事実も浮かび上がってきます。このように、ローマ帝国の支配下にあって、多くの人々がおびえたり、生活に悩んでいた事実がよく分かるのではないでしょうか。

 こんな社会の中で、人々は洗礼者ヨハネが救世主のように感じていました。多くの悩みを解決し、話を聞いてくれていただけに、その印象が深かったのでしょう。しかし、洗礼者ヨハネは答えます。「わたしは水であなた方に洗礼を授けるが、わたしよりも力のある方が来られる。わたしはその方の履き物の紐を解く値打ちもない」(ルカ3・16)と。とても謙虚な姿勢で自分がメシアではないことを断言します。洗礼者ヨハネの生きた姿は、メシアであるイエス・キリストの姿をいっそう引き立てていきます。

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