序)教会の中で
カトリック教会に入ると、聖像、聖画などを見かけます。
十字架のキリスト像、聖母マリアの像、聖ヨセフ、聖家族、また教会の保護者など。聖ペトロ、日本二十六聖人、聖フランシスコ・ザビエル、アシジのフランシスコ、パドアの聖アントニオ、聖アンドレア、聖ペトロ、聖パウロ、聖ヨハネなど。
聖パウロ修道会の場合、聖パウロの像、使徒の女王聖マリアの像、師イエス像などがあります。
他には聖画も。師イエス、使徒の女王聖マリア、使徒聖パウロなど。
*今まで見た教会で感動した作品
●イタリアのシチリアにあるモンレアーレの大聖堂
教会の内部が旧約聖書と新約聖書の物語で彩られている。1182年に完成した教会で、2015年にはパレルモの建物と共に世界遺産に登録されたものです。それを見ると、聖書のストーリーがよくわかる。つまり、文字が読めなかった人たちへのカテケジス。
●イタリアのフィレンツェにあるサンマルコ美術館
現在は美術館になっていますが、もともとはドミニコ会の修道院。居室の一つひとつにフラ・アンジェリコ(ドミニコ会会員)の絵が描かれている。イエスの生涯を黙想できるようなフレスコ画となっている。
1)教会の歴史
初代教会において、ローマ帝国からの迫害が厳しかった。十字架やキリスト像、マリア像などは置けなかったので、カタコンベなどには、壁に鳩、魚、船、錨などを描いていった。信仰を継承していった。
5世紀ごろ、聖画が偶像崇拝のように非難されたりもしたが、グレゴリオ一世教皇は、「文字を知らない人々が文章で読めない事柄をせめて壁画を眺めて読む」のに聖画が役立つことを力説した。
6世紀ごろ、イコンも現れてくる。
8~9世紀のビザンチン帝国での聖画像破壊運動や16世紀の宗教改革後、プロテスタント教会による聖人崇拝の拒否、賛否両論が巻き起こりました。
現在のキリスト教では、聖像や聖画の位置づけは教派によって異なりますが、カトリック教会では聖像、聖画を聖堂に置く古来の習慣を受け継いでいる。
第二バチカン公会議(1962~1965年)の「典礼憲章」125条
「信者の崇敬のために聖像や聖画を聖堂に置く習慣を保つ」
「奇異な印象を与えたり疑わしい信心を認めたりしないよう、数を制限し、ふさわしく配置する。」(美術館、博物館にならないように。聖堂は礼拝の場)
*1970年に発表された「ローマ・ミサ典礼書の総則」では典礼憲章をふまえ、聖像や聖画を信者の崇敬のために聖堂内に置くことを認めた上で、具体的な方針を示した。「総則」の最新版2002年の318項に
①キリスト、マリア、聖人の聖像や聖画は、そこで執り行われる信仰の諸神秘に信者を導くように配慮する。
②数があまり多くならないようにする。(マリア像が多くあって、キリスト像がないなど)
③配置が適正な秩序によって行われるようにする。
④信者が祭儀そのものに集中できるようにする。
⑤通常、同一の聖像や聖画は二つ以上置かない。
⑥共同体全体の信仰心、聖像と聖画の美しさと品位を考慮する。
イタリアの教会では有名な彫刻家や画家が描いた作品が置かれたりしている。歴史的にも芸術的にも価値の高いもので、容易にそれらを移動することができないような場合は別ですが、各共同体では以上の点をふまえて、聖堂内に聖像や聖画を配置します。
かつての聖人への崇敬の中には、迷信的・伝説的側面を強調した民間信心や特定の聖人を守護神のように崇めるなど、行き過ぎたものがあったものも事実。こうした点をあらため、現代の教会では、聖像や聖画が「聖書のことばによって伝えるのと同じよいおとずれを宣べ伝え、信者の信仰を目覚めさせ、養うのを助ける」ものとして、ふさわしく用いることを勧めている。
*キリシタン時代の資料
マリア観音
掛け軸
迫害が厳しい時代にあって、聖像や聖画を通して信仰を伝えていった。