序)聖母マリアの呼称
神の母、聖母の被昇天、無原罪の聖母マリア
1)神の母とは?
「神の母」はギリシア語で「テオトコス」という。
この用語は、4世紀に一般民衆の間でも使われるようになった。
*キリストが受肉する。
ヨハネ1・14
神である方が人となる。
受肉により、神性と人性の結合
キリストは神であり、人である。
そこからキリストを生んだマリアは、単なる人の母ではなく、「神の母」
2)異端
5世紀になり、コンスタンチノポリス(現在のイスタンブール)のネストリウスは、キリストの人性を強調するあまり、「神の母」の称号はふさわしくなく、かわりに「キリストの母」(クリストトコス)と呼ぶべきだと主張した。
これに対して、アレクサンドリアのキュリロスは、431年のエフェソ公会議で、ネストリウスを異端として、「テオトコス」の称号を承認した。その後、これについての論議は交わされることなく、現在にいたっている。
3)教会の文書
*聖アタナシオ司教の手紙
「聖書によれば、マリアから生まれたのは本性的に人間的なものであり、主の体は真の身体です。真の身体であったのは、わたしたちの身体と同様の身体であったからです。なぜなら、マリアはわたしたち皆と同様に、アダムの子孫としてわたしたちの姉妹だからなのです。「ことばは肉となった」というヨハネの言葉の意味も、今述べたことと同じです。それは、パウロにおいて見られる似たような語り口からもわかります。すなわちパウロは、「キリストは、わたしたちのために呪いとなった」と言っています。確かに、人間の身体はことばと交わり、結ばれることによって、計り知れないほど高められました。事実、それは死すべきものから死なないものに、自然の命をもっているものから霊的なものになり、塵から造られたものでありながら天上の門をくぐり抜けたのです。」