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ご存知ですか? 11月12日は聖ヨサファト司教殉教者の記念日です

 聖ヨサファト・クンチェヴィッチの記念日は11月12日です。彼は、1580年、現在ではウクライナにあるヴォリヌスキのヴロディミールでギリシア正教の家庭に生まれました。裕福な家庭ではなかったため、早くから仕事をしながら勉学に励みました。

 この地方では大半の住民がギリシア正教に従っていましたが、1500年代後半にロシアからカトリック国であるポーランドの支配下に移ってからは、ローマ・カトリック教会との一致が模索されるようになりました。そして、典礼様式はそのままにローマ教皇との使徒的交わりに入る教会が生まれました。

 ヨサファトは、カトリック教会との一致を受けて設立されたバジリオ修道会に1604年に入会し、神学の勉強と祈りに励みました。その後、1609年に司祭となり、1613年には修道院長に任命され、バジリオ修道会の指導と育成に尽力しました。1618年には、ポロツクの司教に任命され、カトリック教会との一致の歩みを推進しました。

 その一方で、信徒の中にはギリシア正教会にとどまろうとする人もおり、カトリック教会との一致を探る歩みに反対する人もいました。これを見たギリシア正教会は、新たにポロツクの大司教を任命しました。その結果、この地方におけるカトリック教会との一致を選択した人々とギリシア正教会にとどまる人々との間の対立は、政治的思惑も絡み合って、ますます激しくなりました。そして、1623年11月12日、ヨサファトは司牧訪問の際に、現在のベラルーシュに位置するヴィテシュクで敵対者の襲撃に遭い、帰天しました。ヨサファト殺害というこの出来事は、ギリシア正教会にとどまっていた多くの人の心を動かし、カトリック教会との一致へ導いたと言われています。

 聖ヨサファト司教殉教者を荘厳に記念するミサの中では、ヨハネ福音書17・20-26が朗読されます。ヨハネ福音書17章は、最後の晩さんを終えたイエスが受難に向かう前に御父にささげた祈りを記しています。この祈りは、「わたし」(=イエス)、「あなた」(=御父)、「彼ら」(=弟子たち)という代名詞に満たされた祈りです。イエスと父である神との交わりがいかに緊密で深いものであるか、弟子たちがどれほどこの交わりに深く招き入れられているか、その実現のためにイエスがどれほどの思いで祈ってくださっているかが、この祈りには示されています。朗読個所の20-26節はこの祈りの結びの部分にあたります。イエスは弟子たちの一致のために祈っています。

 ここで求められている「一致」は、単なる人間的一致ではありません。それは御父と御子イエスの一致と同じ一致です。「父よ、あなたがわたしのうちにおられ、わたしがあなたのうちにいるように、彼らもわたしのうちにいるようにしてください」(17・21)。「わたしたちが一つであるように、彼らも一つであるためです」(17・22)。「わたしが彼らのうちにおり、あなたがわたしのうちにおられるのは、彼らが完全に一つであるためです」(17・23)。「父よ、あなたがわたしにお与えになった人々が、わたしのいる所に、ともにいるようにしてください」(17・24)。この一致は、人間の力で実現できるようなものではありません。だから、イエスがこの世に派遣されました。だから、真理の霊である聖霊がわたしたちに注がれます。この一致は、三位一体の神のわざなのです。

 しかし、同時に、この弟子たちの一致こそが、三位一体の神の交わりの目的でもあります。「わたしが彼らのうちにおり、あなたがわたしのうちにおられるのは、彼らが完全に一つであるためです」(17・23)。神がわたしたちの一致を実現するために、永遠から御父、御子、聖霊の一致をあたためてきてくださったのです。

 恵み深い神秘としか言いようがありませんが、ヨハネ福音書では、三位一体の交わりはわたしたち人間の交わりが実現するためにあるということ──もちろん、それが神のみ心だからこそなのですが──が述べられています。このの意味で、三位一体の神の一致とわたしたちの一致とは、切り離すことができないものとして結びついているのです。

 聖ヨサファトの生涯を見つめるとき、わたしたちはキリスト者の一致がどれほど難しいことであるかを痛感させられます。これまでの歴史、政治的思惑、民族感情……。皆が善意をもっていたとしても、容易には解決できない問題が複雑に絡み合っています。しかし、キリスト者の一致が三位一体の神の一致と結ばれているかぎり、一致への努力を怠ることは、神の一致を打ち壊すことを意味します。イエスが、御父との一致を根拠として、弟子たちの一致を祈ってくださったということは、そのために必要な恵みが弟子たちに必ず与えられることを示しています。聖ヨサファトは、このことを信じつつ、自分が置かれた場の中で、真理に基づく教会の一致を忍耐強く探っていったのでしょう。わたしたちも、どんな障壁にも負けることなく、信仰と希望と愛をもって一致への努力を続けることができるように、聖ヨサファトの取り次ぎを願い求めましょう。

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澤田豊成神父

聖パウロ修道会司祭。1965年、東京都目黒区生まれ。1996年、司祭叙階。教皇庁立グレゴリアン大学神学科修士課程で聖書神学を専攻、神学修士号取得。現在は編集をとおしての宣教に従事。東京カトリック神学院、聖アントニオ神学院講師。

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